陽光

松嶋さんは、壱岐生まれの精神科医。 壱岐に暮らすごく普通の人々の記憶をもとにした連作短篇集です。 何か特別な事件が起こらなくとも人生そのものが物語であることを改めて気付かされた作品です。 人々が自分の人生を語る時、とても偏った記憶で語られています。記憶は常に人にとって最も大切なもので、人の思う力、考える力、感じる力を支えているのだと。人は記憶によって育てられ、導かれ、自分にとって大切なものを日々のうちに手にしているようです。 記憶とは覚えていることではなく、心に残る断片。本作で私も誰かの記憶に記されると考えられたから、人との縁がいとしく感じられるようになりました。 是非どうぞ。