別状、あり 〜第二章
砂花富士ヲ
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本の説明
東京―鳥取間を走るワイナリー・ツアーバスが山梨県勝沼付近の中央高速道路から防音壁を突き破って転落。バスは炎上し、運転手を含む乗客二十六名が焼死した。唯一の生存者、佐々木美穂は一人の焼死体を抱きかかえるような状態で救出されたものの、顔に大火傷を負い特別病棟に入ったまま。
‘オレはやったぞ。遂にやったぞ’―― 藤澤麻利絵刑事はヴォイス・レコーダーにそう残したバス運転手が‘道連れ自殺事故’を起こしたのではと嫌疑をかけ、乗客のほぼ半数と過去に関連があったことをつきとめる。一方の原田和好刑事は佐々木美穂の交信履歴と体液から関係性の深い男の影をつかむ。
搭乗者リストと遺品を照合するうちに数に合わない頭蓋骨が発見され、捜査は急展開。一台のバスを軸に、事故と事件の両面から藤澤と原田が捜査し、時に出しぬきながらも互いがヒントを与えあうようになり、信頼を深めてゆくのだが、、、
全社会的自動運転システム〈GAMS〉を背景に、男女刑事其々、一人称視点で事件と事故の奇々怪々な符号を語る。新旧ワイナリーの怨恨、痴情の縺れ、未解決食中毒死をスリリングに紡ぎ出す社会派ミステリー。