営繕かるかや怪異譚 その弐
鬼lab.
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880円(税込)
本の説明
「営繕」とは「造営と修繕」とを意味する言葉で、建築物などを造ることと直すことです。そしてそれはまた、この小説における怪異の受け止め方を示してもいます。この物語は「怪異」を扱うものの、闇や魔を完全に祓い清めることはしません。ただ過去の因縁からくるさまざまな綻びとしての「疵」を探り当て、荒立たぬよう鎮める仕事を描いているように見えます。身辺にふりかかる「怪異」を厳しく排除するのではなく、「怪異」に襲われ囚われた者に巣食った闇が、ささいな心の綻びを生じさせ表立っては「疵」となり拡がるのを補修・保全すること。小野さんが提示したのは、そのようにこまやかに手当てすることによって致命的な破滅を未然に防ぐ「営繕」という仕方のケアワークなのだと思います。(0号)