ほんまる神保町
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大島弓子選集7 バナナブレッドのプディング

鬼lab.

中古

1,650円(税込)

本の説明

多層的なコマ構成を用い、発話の時間を前後に操ることによって、漫画表現に複雑な心理描写を切り拓いた大家の代表的短編集。他にも、夫が霊魂となって自然世界に融解しながら、心に変調を来した妻の精神世界に共生するラストを描いた『ダリアの帯』や、「チビ猫」が外界として体験する人間世界を、奇しい異界そのものとして描いた『綿の国星』などが有名です。大島作品の特徴である繊細なネーム作り、とりわけ真っ黒なベタの画面に白抜き文字で叫ばれる台詞の数々には、いまだに胸打たれます。『アポストロフィ・S』の名場面として知られる「クラッカーが…クラッカーがあったんだ父さん!!」や、『いたい棘いたくない棘』の「ごめんね/かんむりを/とりにきたよ」の赦し。『ヨハネがすき』での、一面のホワイトアウトに駆け出した主人公が「木の葉などは落ちてしまえ!! 雪などとけてなくなってしまえ!! 心の臓よ止まってしまえ!!/みんなが大好きだったんだ!!」と叫ぶシーンなどは白眉といえます。本巻に収録されている『バナナブレッドのプディング』では「人喰い鬼」の夢を見るヒロインのパラノイアが描かれます。内なる鬼が暴走して人を殺めてしまう(「ナイフがわたしを/走らせる」)ことを虞れる少女の内面描写が卓越しており、今回の選書テーマを代表する作品として挙げました。(0号)
大島弓子選集7 バナナブレッドのプディング 画像1

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