孤独の俳句 「山頭火と放哉」名句110選
鬼lab.
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本の説明
「こんなよい月を一人で見て寝る」尾崎放哉
一人で月を眺めていて、「よい月だな」と感慨にふけることがある。……だが、どこかでこの喜びを誰とも分かち合うことができない淋しさも感じてしまう。……一人だからこそ感じることのできた喜びと淋しさが句の内部で循環している。(又吉)
「うしろ姿のしぐれてゆくか」種田山頭火
……感傷も牧歌も消え、生々しい自省と自己嫌悪も遠のいて、宿命をただ噛みしめているだけの男のように、くたびれた身体をゆっくりと運んでいる姿が見えてくる。(金子)
「孤独」や「孤立」を感じる時代だからこそ、心に沁みる名句があるという。
彼らの孤独など自分のそれに比することができるものではないのであろうが、ひとり夜の部屋で読んでいると、少し距離のある場所にもう一つの孤独を感じる。素朴な言葉でつむがれる寂しさが、温かく愛おしく思われる。
山頭火の句は現代俳句の泰斗・金子兜太が、放哉の句は芸人・芥川賞作家の又吉直樹が厳選、解説を手掛ける。山頭火、放哉それぞれの「放浪の軌跡」行脚地図も掲載。(4号)
