紫式部の一人娘
時代小説SHOW
新品
858円(税込)
本の説明
「時代小説SHOW」時代小説ベスト10【文庫書き下ろし部門】
第4位
阿岐有任(あき・ありとう)
文芸社・文芸社文庫
対象期間中の作品は『紫式部の一人娘』(2024年2月刊)の1作。
♪ 2024年のNHK大河ドラマは「光る君へ」でした。この放送に関連して、平安時代を題材にした本が多数出版されました。その中でも秀作が多く見られましたが、特に印象的だったのが本書です。
主人公は紫式部の一人娘であり、父は藤原宣孝。越後弁や大弐三位とも呼ばれ、百人一首に「有馬山 猪名の笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする」の句が選ばれている歌人・藤原賢子(かたいこ)です。本書には、連作形式の短編4編が収録されています。
物語は、賢子が少女から大人の女性へと成長する過程で出会った三人の女性(中将の君、藤原公任の娘、元子女王)との関わりと、自身の婚活について描かれています。前の3編では、賢子がそれぞれの女性たちから恋、仕事、そして人生について学びます。そして、第4編で描かれる賢子自身の婚活の物語は、まさにその集大成といえる内容で圧巻です。
平安王朝の人間模様がリアルかつ生々しく描かれ、登場人物たちがグッと身近に感じられます。地の文は読みやすい現代文でありながら、会話部分が古文調で書かれているため、平安時代の雰囲気を存分に楽しむことができました。
