逆境 大正警察 事件記録
時代小説SHOW
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869円(税込)
本の説明
「時代小説SHOW」時代小説ベスト10【文庫書き下ろし部門】
第9位
夜弦雅也(やげん・まさや)
講談社・講談社文庫
対象期間中の作品は『逆境 大正警察 事件記録』(2024年9月刊)の1作。
♪ 本書は、大正時代を舞台に、旧来の自白に依存した捜査手法から、指紋などの科学捜査が始まった時代背景を描いた警察ミステリーです。
警視庁の虎里武蔵は、東京府青梅で発生した少女殺害事件の現場に臨場します。被害者は6歳の少女で、現場に残されていたスコップから父親の指紋が検出され、彼が容疑者として逮捕されました。しかし、武蔵は捜査結果に納得できず、独自に捜査を開始します。
当時の捜査手法は、江戸時代の「岡っ引き方式」を引きずったもので、班による集団捜査ではなく、刑事たちが単独行動で手柄を競うことが奨励されていました。一方で、科学捜査も徐々に取り入れられ始めており、大正期の警察組織が抱える混乱が克明に描かれています。その描写は歴史小説のような深みがあり、読者を引き込む魅力があります。
また、主人公の武蔵をはじめ、個性豊かな刑事たちのキャラクターも本書の魅力の一つです。彼らの葛藤や成長が物語に彩りを添え、読後には続編を期待せずにはいられない作品となっています。
