北の御番所 反骨日録(九)廓証文
時代小説SHOW
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770円(税込)
本の説明
「時代小説SHOW」時代小説ベスト10【文庫書き下ろし部門】
第3位
芝村凉也(しばむら・りょうや)
双葉社・双葉文庫
対象期間中の作品は『(九)廓証文』(2023年12月刊)、『(十)ごくつぶし』(2024年4月刊)、『(十一)霧の中』(2024年8月刊)の3作。
♪ 連続1位は逃しましたが、3年連続でベスト3入りを果たした傑作シリーズ。その面白さの源泉は、捕物劇を描くにあたって、奉行所内外の出来事や人間関係をリアルに描き出し、組織の中で捜査官である同心たちがどのように動くのかに焦点を当てた「奉行所小説」という点にあります。
主人公の裄沢広二郎は、論理的な思考に基づく推理でいくつかの事件を解決したことが評価され、奉行より隠密廻り同心に抜擢されました。内勤から外回りへと役目が変わり、捕物を扱うことが増えたことで、ますます活躍の幅が広がります。一方で、閉鎖的な奉行所内では悪目立ちする存在であり、上司である与力にへつらわない「はぐれ同心」でもあります。
本シリーズが痛快でありながら心に深く響く理由は、鋭い洞察力と切れ味鋭い推理だけではありません。人に優しく情に厚い一方で、信念をもって正義を貫くためには反骨も厭わない――そんな裄沢の厄介な性格が、物語に独特の魅力を与えています。そこには、読むたびに新たな発見があり、一気読みせずにはいられない面白さがあります。
