月の夜
えぬま書房
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770円(税込)
本の説明
平成11年から始まった「平成の大合併」により淘汰されたのは社会の変化に対応できない財政的に弱小な自治体だけではなかった。それは戦前戦後を通して日本の地方政治を支えてきた政治風土の淘汰で有り、それは地方の政治風土を支えてきた政治文化の終焉でもあった。しかし民主政治に通底する人の意識は容易に変わらない。どんなに社会が進展しようと政治が人の営みである以上、避けることのできない人間の非合理と誤謬がその制度の持つ宿痾であり、いわば間違いだらけのその先に一縷の望みをかけるのが民主主義である。主人公の蓮井公平はその非合理に翻弄され、民主主義の真実に気づかされる。蓮井はその非合理を恨みながらも、その実、自らの非合理にのめり込んでゆく。